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愛川町と神奈川トヨタ自動車株式会社との観光・産業連携拠点整備に関する基本協定に関して

  • 執筆者の写真: ima3kimpoko
    ima3kimpoko
  • 4月23日
  • 読了時間: 6分

2025年2月25日に、2025年度当初予算案に関する記者発表が行われました。その際、神奈川トヨタ自動車をパートナーに、半原水源地跡地の活用を進めていくとの発表がありました。2024年度から始まった埋め立て工事もおおむね終了していたことから、そろそろ次の段階に進むことはある程度予想しておりました。

令和7年第一回愛川町議会定例会における井上博明議員の一般質問に対する小野澤町長の答弁からは、議会での予算承認、神奈川トヨタ自動車との協定締結、住民説明会の開催が、今後の予定として示されていることが明らかになりました。

以前より今鉾君雄(以下、筆者)は、現町長のもとで進められているこの計画案に対し、反対の立場をとっております。筆者は、半原水源地跡地には愛川町の若者が誇りに思えるようなスポーツ施設、具体的にはスケートボードパーク、ブレイクダンスステージ、ダンススタジオの建設を核とし、スポーツ・音楽・カルチャーが育まれる場所とすべきであると主張してまいりました。

半原水源地跡地の利用は、「観光・産業連携拠点づくり事業」として平成28年頃から進められており、コロナ禍の収束を待って昨年度から埋め立て工事が始まり、すでに完了しております。令和7年度の予算編成においても本事業に対する予算が議会で承認されております。2025年4月22日現在、神奈川トヨタ自動車との基本協定書も町のホームページ上に掲載されております。

さて、筆者はこれまでの経緯や問題点について、いくつかのポイントをホームページやX(旧Twitter)上で示してまいりました。短期間で内容をまとめ、発表できる形にすることが困難であると判断し、生成AIであるChatGPTを用いて文章を作成いたしました。生成された内容は概ね良好で、筆者の理解と一致するものでありましたが、気づかされる点も少なくありませんでした。

これまでお示ししてきた内容は、以下のようなタイトルで紹介しております。 『愛川町と協定を結んだ自動車ディーラーの戦略をChatGPTに質問してみました』 『愛川町と観光についてChatGPTに質問してみました』 『水源地跡地でのカフェレストラン経営をChatGPTを使って考えてみた』 『ChatGPTにグランピング施設について質問してみた』 『町側視点で、否定的な意見への反論をChatGPTにお願いしてみた』 『意思決定プロセスにおける問題点をChatGPTに質問してみました』

これ以外にも、過去のブログにおいて多方面から半原水源地跡地に関する意見を述べさせていただいております。中でも、YouTube動画でご紹介している事業計画に関する筆者の見解が、もっともわかりやすい内容となっておりますので、ぜひご視聴いただければ幸いです。



以下、これらの内容を踏まえて、よりわかりやすくご説明させていただきます。

  1. 観光に注力している愛川町にとって、神奈川トヨタ自動車株式会社(以下、神奈川トヨタ)が整備に協力してくれることは、大変ありがたいことであったと考えられます。非公式ではありますが、この事業に対して手を挙げる企業が他に無かったことを踏まえると、なおさら貴重な話であったといえるでしょう。計画していた事業を町が単独で進めるには、知識も人材も不足しているのが現実であり、仮に現在の町組織が独力で進めていたとすれば、その成功の可能性は低かったものと思われます。

  2. 協定を結んだ神奈川トヨタには、企業としての明確な目的と勝算があると考えています。同社はコンパクトカーの取り扱いもありますが、クラウンやアルファードなどの人気大型車、さらには社用車や公共団体での使用にも適した車両もラインナップしています。神奈川トヨタの安藤社長は、同社のホームページで次のように述べています。「神奈川トヨタの存在意義は、単に車を売って儲けるということではなく、社会の一員として貢献していけるような企業価値を高めていくことです。会社が社会に貢献していると分かれば、社員は誇りを持って毎日を過ごせますし、更に自ら率先して価値を広めていくための活動が可能です。」(神奈川トヨタホームページより)

  3. 半原水源地跡地にアウトドア施設を整備しようとするプロセスにおいて、小野澤町長のもとで進められる愛川町の観光開発と、神奈川トヨタの安藤社長がこの事業に協定を結んで関わろうとすることは、おそらく「正論」あるいは「王道」と言ってよいものでしょう。多くの人が「きっと成功するに違いない」と考えているものと思われます。万が一の失敗に備える意識が薄れている可能性すらあります。多くの人が正しいと信じることは、ときに異論に耳を貸さず、本来ならば事前に予測できたはずのリスクを見落としてしまう恐れもあります。

  4. 企業経営は筆者の専門分野ではないため、YouTubeチャンネル「脱・税理士スガワラくん」のコンテンツが非常に参考になりました。筆者のX(旧Twitter)でも取り上げておりますので、ぜひご視聴いただければと思います。このチャンネルを参考にすると、半原水源地跡地利用に関するいくつかの問題点が見えてきます。 (1)事業計画が長期にわたるため、予算額の不足が懸念されます。予算を優先するのであれば、事業内容の大幅な縮小が必要となる可能性があります。人件費や原材料費の高騰は言うまでもありません。 (2)流行の後追いでは利益が出にくくなります。アウトドア関連のビジネスには一定の安定性がありますが、コロナ禍でのキャンプブームはすでにピークを過ぎており、集客力のある施設づくりと運営が求められます。 (3)現在の計画では、顧客ターゲットの絞り込みができておらず、運営コストの回収が難しいと考えられます。グランピングやBMXといった要素は、この場所では実現に課題が多いでしょう。 なお、スガワラ氏は動画の中で「ランチェスター戦略」を提唱しています。この戦略では、弱者は強者と同じ戦略をとるのではなく、市場を近場に限定し、身の丈にあった経営をすることや、一点豪華主義のような限定的な投資による戦い方が有効であると説いています。

  5. 集客を制限する可能性のある最大のボトルネックは、駐車場の問題です。『半原水源地跡地でのカフェレストラン経営をChatGPTを使って考えてみた』でも詳述しておりますが、この場所は自動車でなければアクセスが難しいため、駐車場が満車になればそれ以上の集客は望めません。駐車場が無料か有料かによっても状況は変わりますが、たとえ有料であっても他より「安い」と感じられる場合、駐車場の回転率は上がらず、来訪者の滞留時間が延びることで、収益機会の損失につながるおそれがあります。

  6. 神奈川トヨタがこの整備事業にどれだけのモチベーションを継続できるかは、現時点では不透明です。ご存知の通り、トランプ米国大統領の関税政策は、アメリカ市場への依存度が高い日本の自動車産業にとって大きな不安材料となっています。加えて、2025年4月23日現在、ドル円相場は142円と円高が急速に進行しており、これは輸出産業にとって不利な状況です。このような環境下では、国内の自動車ディーラーにとっては国内販売の強化が重要となり、本業以外の分野にどれほどの労力を割くことができるかが、今後の大きな課題となるでしょう。



 
 
 

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